もっと彼らを見ていたかった。というのが最初の感想だ。別に作品が短すぎるというわけでは無い。本作では今後はおそらく出てくることはない魅力的な人物が多数出演しているということだ。サイコパスシリーズ自体は新展開が今後もありそうなので残念だ。
本作は本編ではどちらかといえば脇を固めていた者たちがメインとして登場するが、ストーリーとしては比較的シンプルな事件を扱っており、これまでサイコパスシリーズに触れたことがないものでも十分に理解可能である。関心のある方は一度映画館に足を運んでみてはいかがだろうか。
なお、征岡智己役を務められていた有本欽隆氏が去る2月1日に逝去されている。謹んでご冥福をお祈りいたします。
懐かしい人たち
須藤徹平が参加した秘密作戦で同僚の大友が行方不明になる。その数か月後国防省が武装ドローンによって襲撃される事件が発生、容疑者として浮かび上がった大友の捜査のため公安局から青柳監視官と征岡執行官が須藤のいる沖縄に派遣されてくる。というのが今回の流れだ。
今回の舞台は常守朱が公安一係に配属される少し前、2112年の話となる。2117年時点では公安局にすでにいない人、立場が変わった人達がかつての姿で登場する。狡噛は公安局から逃亡していないし、縢も健在だ。宜野座は今となっては懐かしい気難しさを発揮している。
しかし、今回取り上げるべきは何といっても征岡だろう。どことなく刑事コロンボを思わせる刑事パートもよいが、たびたび征岡の家族愛が垣間見えるシーンはなおよい。中盤に沖縄に住む元妻(宜野座の母)を訪れる場面があるが、元妻は病気で意思疎通ができない。征岡は彼が残りの人生をどう使うかについてに語る。それを見ている我々は彼がその言葉通りに生き抜いたことを知っている。本筋の事件とは関係がないが間違いなく本作の白眉となる場面だ。
今回新たな魅力を発見できたのは青柳監視官だ。テレビシリーズにおける彼女は二係の監視官という立場から時には朱と対立関係になることもあり、かなり損な役回りであった。二係の彼女にとって今回一時的に部下となっている征岡はおそらく執行官というよりは、同期の宜野座の父親で歴戦のデカという認識が強いのだろう。刑事として人間として彼を尊敬していることが随所に伺える。前述の征岡の宜野座家訪問も彼女の配慮によるものである。普段毅然とした態度を崩さない彼女が一瞬だけ表情を緩めて征岡に対する認識を一言で述べている場面は青柳役の浅野真澄さんの演技が見事だった。
次のシリーズへの布石か
さて、次回Case.3ではいよいよ狡噛慎也が本格的に登場する。Case.2で登場した人物が明らかに今後のシリーズ展開を匂わせるようなことを述べていたこともあり、新展開の発表も予想される。楽しみに待ちたい。