若月圭太のアニメ映画感想ブログ

劇場版アニメ・アニメーション映画の感想を中心としたブログ

おそ松さんから卒業したあなたにこそ見て欲しい「えいがのおそ松さん」感想

  • 最低限6つ子の区別がつけば問題なし
  • 6つ子が現在の性格になった理由
  • スタッフからファンへの感謝にあふれた作品

 本作は2015年に放映され大ヒットし、その後2期まで製作されたTVアニメ「おそ松さん」の完全新作劇場版です。私が見に行ったときは平日の昼間だったのですが春休み中と思われる小学生ぐらいの子供が結構いたのが意外でした。なお、筆者はTVアニメの1期のみ視聴済みですが特に問題はありませんでした。というよりも完全独立エピソードなので6つ子の性格の把握と区別さえつけば特に問題なく観ることができます。

本作はスタッフからファンへの感謝にあふれた作品です。おそ松さんから卒業して遠いところに行ってしまったあなたにこそ是非観てもらいたい作品です。

あらすじ

 高校の同窓会の翌日、6つ子たちが目をさますとそこは高校の卒業式前日の世界だった。デカパンにであった6つ子はここが「思い出の世界」であり、6人の中にこの時代に大きな後悔を残している人物がいることを告げられる。後悔の内容を調べるため6つ子は過去の自分たちに会いに行くというのが今回のお話です。

高校時代の6つ子たち

 本作のみどころの一つは高校時代の6つ子たちです。彼らの中には今と全く変わらないもの、現在の性格の一端が迷走する形で出ているもの、現在とは全く異なる性格のものがいます。

作中では高校入学当時は仲のよかった6つ子が無神経な周囲の反応に傷付き、その結果徐々に仲が悪く、お互いが不干渉、無関心になっていきます。その当時のことを現在の6つ子が振り返って愚痴を言い合うシーンが、なんだろう、すごく心に刺さりました。特に年の近い兄弟がいるわけではないのですが。おそ松さんはTV版でもときどき繊細な心情の機微を描くシーンがあってそこが好きな部分なのですが今回の劇場版でもそれは健在でした。

 特に作中で明言されているわけでは無いのですが、高校入学時には6人の性格に大きな違いがないように見えること、卒業直前の性格が6人のうち数名の性格が迷走しているように見えることを鑑みるに、6人の性格が分かれていったのは決して自然に起こったことではなく、6つ子がひとまとめに見られるのを避けるために特定のキャラクターを演じ始めたことがきっかけのように感じました。

高橋からの手紙

 中盤以降、6つ子の一人が卒業式の前日に高橋をなのる人物から6つ子のうちの誰かに宛てた手紙を拾ったこと、その手紙の内容を確認しないまま手紙を紛失したことが判明、6人は高橋の手紙の中身を知るために動き出します。

 高橋の正体は6つ子の同級生でした。彼女は良くも悪くも目立つ6つ子と異なり、これといった特徴のないモブの一女子生徒にすぎません。彼女は言います。6つ子が笑ったり、怒ったり仲良く一緒に過ごしているのを見るのが好きだったと。

 おそらく彼女はおそ松さんの視聴者を具現化したキャラクターなのでしょう。彼女はいいます。卒業したら遠いところにいくと、その言葉の通り彼女が存在するのは「思い出の世界」の中のみで現在の6つ子の前に彼女が姿を現すことはありません。それでも6つ子はその世界の中で一緒に過ごしてくれたことに感謝の言葉を述べるのです。

 おそ松さんは第1期のブームをおこしたあと急速にそのブームがしぼんでしまった作品です。本作の興行収入についても当時のブームを考えれば物足りないと言わざるをえません。多くのファンはおそ松さんを卒業して今ではそれらは「思い出の世界」のものになってしまいました。でも、そのような方にこそ、是非劇場で彼らの感謝の言葉を受け取ってほしいと思います。