映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』は一言で言えば感動的なストーリーの佳作です。必ずしも非の打ち所がない完璧な作品というわけではありませんが以下に当てはまる方は是非お勧めしたい作品です。
- テレビアニメ版が好きな方
- いわゆる泣ける映画が好きな方
- 青春ものが好きな方
- SF系の作品が好きな方
こちらの記事はテレビアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(通称:青ブタ)の続編である映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』の感想記事となります。ここからネタバレの表記以降は本作のネタバレが入りますのでご注意ください。
青ブタシリーズについて筆者はテレビアニメは視聴済みですが原作については本作で映画化された部分までは手をつけていません。
それでは感想記事スタートです。
作品紹介とあらすじ
原作は鴨志田一によるライトノベル『青春ブタ野郎』シリーズの中の『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』および『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』。
監督は増井壮一、脚本は横谷昌弘が共にテレビアニメから引き続き務めています。両名はテレビアニメ『サクラクエスト』でもコンビを組んでいます。キャラクターデザインは本シリーズがキャラデザデビュー作となる田村里美が担当しています。
声優陣は主人公の梓川咲太を石川界人、恋人の桜島麻衣を瀬戸麻沙美、本作のヒロインである牧之原翔子を水瀬いのりが演じています。
咲太と麻衣の前に現れた初恋の相手である翔子、彼女は思春期症候群によって「大人」と「中学生」の二人の翔子が同時に存在していた。行く当てがない大人翔子をやむなく自宅に住まわせる咲太、その後咲太は中学生翔子が重い心臓病を患っていることを知る。そして咲太は大人翔子から思いもよらぬことを告げられる。
感想(ネタバレなし)
本作の売りはなんといってもその感動的なストーリーでしょう。当初は難病ヒロインである翔子を巡るストーリーが展開されると思いきや、中盤以降、過酷な運命に咲太と麻衣も巻き込まれていきます。最終的には主人公の咲太にどのような未来を選択するかという大変重い選択が委ねられます。
一方で、本作は完全にテレビアニメの続きとして製作されているため、本作の重要な設定である思春期症候群や咲太の胸の傷、登場人物がどういった関係なのかについての説明がほとんどされないまま話が進むため、初見の方にはやや不親切な面があります。
また、経験上ライトノベルを映画化する場合は文庫1冊分が尺としてはちょうどいいと考えられますが、本作は文庫本2冊の内容を1本の映画にまとめていることもあり、全体的に尺がきつく、やや駆け足な部分があるのは否定できません。
作画についても整ってはいるものの基本的にはテレビアニメにプラスアルファレベルなのでそういったものを本作に期待していると肩透かしを食うことになるでしょう。
ここからネタバレ有り
本作は『涼宮ハルヒの消失』のオマージュとして作られているように思われます。その理由は以下の通り、
- クリスマス直前の時期を舞台としていること
- 中盤以降に主人公が過去に時間遡行する展開があること
- ヒロインを選択することがどのような世界を選択するかと同義であること
とはいえ、本作はこれに加えて悲劇の回避を目的としたループ物の要素も加わるため、観た印象はかなり異なります。時間遡行の部分は尺がないこともありやや雑に感じるものの、かなりの高いレベルで新たな物語を構成することに成功しているように思われます。
本作では次に掲げるいくつかの世界が登場します。
- 咲太が犠牲となり、翔子が生存する世界(ルート1)
- 麻衣が犠牲となり、翔子が生存する世界(ルート2)
- 咲太と麻衣が生存し、翔子が死亡?する世界(ルート3)
- 咲太と翔子が過去に出会わず、3人とも生存する世界(ルート4)
よろしければはてなブックマークやTwitterのフォロー、ブログの読者登録をお願いします。