前回の Case.2に引き続き今回は Case. 3の感想です。なお、本作はサブタイトルでも使用されている菊池寛の「恩讐の彼方に」がキーアイテムとして登場します。青空文庫等で30分程度で読むことが可能なので、まだ未見の方は事前に読んでおくと良いかも知れません。
あらすじ
劇場版の舞台となったSEAUn事件後も放浪を続けていた狡噛は傭兵団「停戦監視団」団長のガルシアとの面識を得ます。その後チベット・ヒマラヤ同盟王国で武装ゲリラに襲われる難民バスを救い、そこで日本人の父を持つテンジンという少女に出会います。復讐のために戦い方を学びたいと狡噛に願うテンジン、そんな二人の前に Case.2でも登場した花城フレデリカが現れるというのが今回のあらすじです。
みどころ
本作のアクションシーンですが序盤の難民バス救出シーンおよびクライマックスの走行列車上のバトルシーンなど、移動しながらのアクションシーンが多めとなっています。
また、今回サイコパスシリーズには珍しくサービスシーンとして中盤にテンジンとフレデリカのかなり長めの風呂シーンがかなりがっつり描かれています。あと、あまり長くはないですが狡噛さんの風呂シーンもあります。
「恩讐の彼方に」の使い方に疑問
冒頭でも述べた通り、本作では菊池寛の「恩讐の彼方に」が重要な役割を果たしています。テンジンは狡噛に戦い方を学ぶ一方で、父の残した「恩讐の彼方に」の読み方についても教えてもらうことを願います。物語後半、父や故郷の村の人々を虐殺した犯人を見つけたテンジンは復讐を果たそうとしますが「恩讐の彼方に」にこめられた父の思いを知った彼女にはもう引き金を引くことはできません。と、ここまではいいんです。
菊池番「恩讐の彼方に」のテーマを一言で言えば贖罪と赦しなのですが、本作の黒幕が行っていることはいわばマッチポンプであってその目的に贖罪の意味はありません。また、本作では復讐の意味を復讐者本人の手によって対象を殺害することに限定していますが、観客の視点からだと最終的に虐殺の実行犯および黒幕がテムジンではなく別の者の手により死亡するため復讐が達成されてしまった印象を受け、チグハグな感じがしました。
そして次のステージへ
本作の公開と前後してTVアニメ第3期の製作が発表されました。キービジュアルには新キャラが掲載されており、これまでのキャラがどのような形で登場するのかは不明ですが新シリーズを楽しみに待ちたいと思います。