若月圭太のアニメ映画感想ブログ

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もしもゲマがループを繰り返していたとしたら 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』感想

 

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫)

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫)

 

 世の中のある種の作品には、自分ならこうするのにと観客の想像力を強く刺激するものがあります。本作についてもそういった作品の一つで、特に原作の『ドラクエV』に思い入れの強い者であるほど、この作品を観ることで、自分だったらこういった展開にするのにとの強い思いを持つことになります。そういった意味において本作のタイトルに『ユア・ストーリー』とつけられているのは絶妙と言えます。

 本記事ではいつもとは趣向を変えて、タピオカミルクティーの行列に並ぶ人を小馬鹿にする陰キャのようなラスボスが登場する終盤の展開の問題点について簡単に触れたうえで、自分が「思いついてしまった」展開について述べたいと思います。

 

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終盤の問題点

ドラクエである必然性がない

 問題点はいろいろあるとは思うのですが、自分が最大の問題だと思うのはあの展開をドラクエでやる必然性が無い。というよりもフィクションであればどのような作品であっても可能なオチであることです。

 例えば同じことを『ALWAYS 三丁目の夕日』で行うならば、終盤、茶川が淳之介を追いかけるシーンで突然丸眼鏡をかけたマッシュルームカットの男が現れて、「お前は「懐かしい匂い」を嗅いだことで昭和の時代の幻想を見ているだけだ。臭い靴下の臭いを嗅いで、目を覚まし、21世紀を手に入れろ。」となるでしょう。

 要するに、本作のラストの問題点は、主要スタッフがドラクエVに真剣に向かいあわずに、安易な思いつきをそのまま映像化したことにあるといってよいでしょう。

 というわけで、続いては自分だったら終盤をどういった展開にするかというお話です。

ぼくのかんがえたさいきょうのえいがどらくえのらすと

ループを繰り返していたゲマ

 マーサの死後、リュカ達はそのままミルドラース戦に突入。ミルドラースに苦戦するリュカ達、あわや全滅かというところで突然ゲマが登場。ミルドラースの動きを一時的に封じ、その隙をつき勇者がミルドラースを倒すことに成功する。

 ゲマはなぜミルドラースを裏切ったのか。実は遠い過去にゲマはミルドラースに呪いをかけられていた。その呪いとは死ぬたびに呪いをかけられた時点まで死に戻りする呪い。ゲマはこれまでに何度も同じ時間を生き、その度にボブルの塔やエビルマウンテン、その他さまざまな場所でリュカ達に倒されていた。

 ゲマの真の目的は天空の勇者にミルドラースを倒させることで呪いから解放され、なおかつミルドラースの力を取り込み自身が魔王となることだったのだ。

 ついに魔王となったゲマ、リュカ達とゲマとの真の最終決戦が始まる。

解説

 とまあ、このあとは普通に激戦の末ゲマを倒してハッピーエンドなわけです。最初は単なる思い付きだったわけですが意外とこの案にはメリットが多いんですよね。

SFC版およびリメイク版の展開をあったことにできる

 もともとこの案の着想のきっかけは、SFC版とリメイク版でゲマの死亡場所が異なることが気になったからなんですが、この案だとSFC版のループの経験を生かしてリメイク版のループではボブルの塔から撤退したという説明がつくんですよね。

 ついでにいえばループによって嫁がビアンカだったりフローラだったりがデボラだったりするわけですが、流石のゲマも誰と結婚しても勇者が生まれることを知った際は驚いたのではないでしょうか。

存在感のあるラスボス

 よく言われる話ではあるのですが、ラスボスのミルドラースっていまいち影が薄いんですよね。大体ゲマとエスタークのせいですが。そういった意味でゲマがラスボスになってくれると物語としてすっきりします。

ゲマの詰めの甘さに理由がつく

 ゲマという人物は作中で詰めの甘い行動をたびたびしています。有名なのはボブルの塔でゴンズと連携しない。デモンズタワーで石化した主人公夫妻を破壊しない(リメイク版のみ)あたりですが、それも、彼の目的がミルドラース打倒だったと考えれば説明がついてしまうんですよね。彼からすれば勇者が死んでもらっては困るんですから。パパスやマーサを殺してしまうのはきっと、そうしないと何らかの理由で詰むからなんでしょう。

 

 ちなみに、万が一、ゲマがミルドラースの力を取り込むルートよりも先にエスタークを取り込むルートに到達していた場合は、ゲマがミルドラースもリュカ達も倒し、完全勝利するはずでした。

まとめ

 本作の映画の公開後、多くの方が怒りの声をあげています。その気持ちはもちろんよくわかります。ただ、そういった怒りをただ吐き出すよりは、自分ならこうする、私ならこうするといったことを考えたほうがいいと思います。

 少なくとも自分は今回のアイデアを考えるのはとても楽しかったですから。最初は呪いをかけられた直後に死んでいたゲマがループを繰り返すうちにボブルの塔まで生存、エビルマウンテンまで生存、最終的にラスボスに登り詰めるとか、ゴールドオーブを破壊するのが正解ルートだってことをどうやって気づいたんだろう、なんてことを想像するのは。

 なので、できればできるだけ多くの人の自分だったらこういった展開にするというユア・ストーリーを読んでみたいです。

作品紹介・あらすじ

 『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は、ゲーム『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を原作とした白組およびROBOT制作による3D長編アニメーション映画です。

 総監督は『STAND BY ME ドラえもん』では監督を務めていたの山崎貴、監督は同作で山崎貴と共に監督を務めた八木竜一と、アートディレクターを務めていた花房誠の二人が担当しています。

 声優は主人公のリュカを佐藤健、ビアンカを有村架純、フローラを波留、ゲマを吉田鋼太郎が担当しています。

 母を取り戻すために旅を続けるパパスとリュカ、しかしパパスはゲマに殺され、リュカは奴隷の身に落ちてしまう。10年後、サンタローズに戻ったリュカはパパスの日記を見つけたことをきっかけに天空のつるぎを探す旅に出る。

  

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