若月圭太のアニメ映画感想ブログ

劇場版アニメ・アニメーション映画の感想を中心としたブログ

とある原作厨の一意見「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」感想【ネタバレ有り】

  過去のユーフォ映画3本はそれぞれ久美子と麗奈、久美子とあすか、みぞれと希美の関係性に焦点をあてていたのに対し、本作はTVアニメと同様、北宇治高校吹奏楽部を久美子の視点から描く形で製作されています。

 その結果、過去3作品に比べると1本の映画としての完成度がやや劣ると言わざるを得ない部分があります。あくまでも他の3作品が全国大会出場レベルだとしたら、本作は関西大会金賞どまりというだけで本年公開作品の中ではトップクラスの出来なのですが。

ビジュアル

 相変わらず女の子は可愛いです。今回登場する新一年生皆可愛いのですが、ユーフォの後輩となる奏は原作でも美少女という設定のため、一つ抜けたキャラデザになっています。ただ、総作画監督が今回池田さんと「リズの青い鳥」の西屋さんの二人体制だったためかところどころ目が小さくない?といったシーンもちらほらありました。

 これは個人的な好みですが奏みたいな小悪魔系のキャラはもう少し半目ぎみ(ホルンの岸部海松みたいな感じ)な表情が多いとうれしいです。

 サンフェスの衣装は可愛いのですがTV一期の衣装が良すぎたので少々物足りない感じはします。

 ビジュアル面で良かったのはあがた祭りの久美子ですね。修一とのデートシーンは石原監督が意識して可愛さを描くようにしたというだけあってこれまでにない久美子を見ることができました。

 残念だったのはプールのシーンが短いことですね、本来ここは久美子と希美の会話がメインのシーンで、カットされてもおかしくなかったのでむしろ短いとはいえ残してくれてありがとうというべきなんでしょうが。

あのシーンもこのシーンもカット

 ここから原作厨の意見本番です。第二楽章の文庫本2冊の内容を「リズの青い鳥」と本作で映像化している訳ですが、残念ながらいずれからもカット・改変されたシーンがかなりあります。本作で見たかったシーンのうち奏および秀一関連に限って列挙しても以下の通り。

  • パート振り分けシーン、奏「自分だけが知ってる、特別って感じがして」
  • 楽器決めシーン、奏「今後がとても楽しみになるメンバーですね」
  • 入部以来、奏が夏紀に一度も助言を求めていないこと
  • 黄前相談所梨々花編
  • 久美子、奏、美玲のシーン、美玲離脱後の二人の会話
  • 久美子、奏、梨々花が夏紀について語るシーン
  • ファミレスでの久美子と奏の会話後半改変
  • 夏紀のオーディション部分
  • 夏紀の壁ドン
  • 奏の過去改変
  • 部長指名
  • 秀一「お前、ほんまにめんどくさいな」カット、シーンシチュ変更
  • チーム黄前結成

 って多いな!

 

 予告で久美子が「めんどくさいなぁ、一年生」って原作にないセリフを聞いて、自分はあぁこれはラスト付近の秀一との例のシーンで実は一番めんどくさいのは久美子でした。ってオチにするつもりするつもりだと思ってニヤニヤしてたんですよ。そしたらまさかの

 

「ほんまにめんどくさいな」カット

 

 しかも原作ではあのシーンは部長に指名された久美子が一年間部活に専念するための決断だったのが映画では将来とか部活とかいろいろ考えることが多いからというよくわからない理由で決断をしてしまっていて、お前はこれからの人生悩むたびにそんな決断をするつもりなのかと小一時間(以下略)

 あとは登場人物が夏紀について語る部分のカットが多いのでオーディションでの奏の行動の説得力が原作に比べて弱いんですね。個人的には進路関連や奏とは直接関係のない加部ちゃん先輩関連を削って夏紀関連にあててくれば良かったのにと思わずにはいられません。そもそもあれだけ目立ってる加部ちゃん先輩がエンディングのキャスト欄ではただの吹奏楽部員扱いなのも納得いかないのですが。

これまでの頑張りとこれからの頑張り

 原作と映画の最も大きな改変ポイントは奏の過去およびオーディションでわざと手を抜いた理由です。

原作の奏の過去

 中二のときは奏を入れて2名、奏は部活時間しか練習しない一方で、もう一人は夜遅くまで熱心に練習していた。しかし、実力は効率的に練習していた奏のほうが上、しかしコンクールメンバーに選ばれたのはもう一人の方、みんなは言う「あの子はいっぱい頑張っていたから」

原作のオーディションで手を抜いた理由

 奏は夏紀のことを嫌いになろうと努力していた。しかし、夏紀はとてもいい人だった。副部長で人望もあり練習も真面目で誰もが頑張っていると評価し、みんな彼女にメンバーになってほしいと思っている。奏だって頑張っているが誰も奏を望んでいない。だったら自分から譲ったほうがよい。

映画の奏の過去

 中学のとき奏は先輩を差し置いてコンクールメンバーに選ばれた。選ばれなかった先輩のためにも奏は懸命に練習をする。しかし結果は銀賞、まわりからは「こんなことなら初めから先輩を選んでおけばよかった」と声をあびせられる。

映画のオーディションで手を抜いた理由

 去年の北宇治で麗奈が認められたのは全国大会出場を果たした結果論にすぎない。頑張っても望んだ結果が得られるとは限らないのに、自分が夏紀を差し置いてメンバーに選ばれることに意味はあるのか。失敗して中学のときと同じような思いをするくらいであれば自分から譲ったほうがよい。

 

 映画のほうは正確に理解できているか怪しいのですが、こうして比較してみると原作がこれまでの頑張りの過程に重点をおいているのに対して、映画では頑張った結果について重点がおかれているのがわかります。

 そのため、奏の告白に対する久美子の対応も原作ではこれまでの奏の頑張りを認めてあげるといった対応に対して、映画ではどのような結果であっても久美子と夏紀が奏を守ると説得しています。

 今回改めて原作を手に取って気づいたのですが、これまでの頑張りがなかなか認められることのなかった奏が久美子によってその頑張りを認められることによって救われるという流れは「SHIROBAKO」のタローと平岡の関係によく似ています。

 「SHIROBAKO」の該当シーンが非常に良いシーンであることを考えると、映画での一連のシーンは非常に感動的ではありましたが、それでもできれば京アニの全力演出であのシーンを原作通りにやってほしかったなぁと思わずにはいられません。

ある意味一番の問題点の演奏シーン

 

リズと青い鳥 コンクール用編曲 Ver.

リズと青い鳥 コンクール用編曲 Ver.

  • 北宇治高校吹奏楽部
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 クライマックスは関西大会におけるリズと青い鳥の演奏シーンで、8分以上にわたる演奏シーンがダイナミックに描かれています。今回の演奏でまず注目したいのはパーカッション、もともと他の楽器と比べて動きがあるうえ、今回はウインドマシーンなどのあまり見ない楽器も使用されており見ごたえがあります。ですが今回何といっても一番目立っていたのは久美子でも麗奈でもなく

 

謎のオーボエ美少女

 

・・・いや、鎧塚みぞれなんですが、実は本作では彼女全くセリフがありません。第二楽章を映画「リズと青い鳥」と本作に分けて製作をした弊害の最たる部分がこの演奏シーンに出てきてしまっています。曲としての「リズと青い鳥」はとにかくオーボエが中心の曲です。特に中盤から後半にかけての数分間は完全にオーボエがこの曲の主役となっています。映画「リズと青い鳥」やTV2期を観ている人であれば彼女が何者で、何故彼女が演奏の中心なのかはよくわかっているのでよいのですが、作品単体としてみた場合、これまで全く目立っていなかった人物が突然作品の中心にたつことにやる違和感があります。

まとめ

 さて、ここまで本作についてやや厳しいことを書いてきましたが、冒頭でも述べたように特定の二人に焦点を当てていた過去のシリーズ劇場版3作品と比べると吹奏楽部そのものに焦点を当てた本作はやや散漫で完成度も劣る部分があります。一方で全編にわたって作画、演出ともに極めてハイレベルであり、久美子と奏の雨の中のクライマックスシーンはとても感動的です。

 今回残念ながら三年生編である最終楽章の映像化の発表はありませんでしたが、できれば関西大会直後から最終楽章まで2クールぐらい期間をとってTVアニメでやっていただきたいです。

 最後にできればその際はアニメではかなりマイルドに描かれている久美子のきつい部分も出していってほしいですね。原作での久美子は奏に「利己的な性格を演じてるのは、それがカッコいいと思ってるから?」と煽ったり、希美に自分を軽蔑するかと訊かれて「しますよ」と答えたり、部長になったらなったで

 

反乱の芽は早目に摘み取らねばならない。

 

とか考えてる可愛らしい女の子なので。

 

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以下の記事でコンクールメンバー55名を特定しております。よろしければご覧ください。

www.wakatsukikeita.work

 

 

Blast!

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